訪問看護にて介護保険、医療保険どちらが適応になるのか

訪問医療関係は制度やルールが複雑でわかり辛い!
とそんな意見を良く耳にします。
という訳で今日は訪問看護を導入する際に、介護保険と医療保険のどちらが適応になるのかについて解説します。

手っ取り早くフローチャートにしてみました。

ここからはフローチャート内容について解説していきます。

●特定疾病(16特定疾病)
40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者が介護保険を申請できる疾病

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
    【パーキンソン病関連疾患】
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

*上記のマーカーで引いた疾患は下記の別表7にあたるため医療保険の適応となります。

●別表7の疾病
厚生労働大臣が定める、医療保険による訪問看護が可能な疾病
① 末期の悪性腫瘍
② 多発性硬化症
③ 重症筋無力症
④ スモン
⑤ 筋萎縮性側索硬化症
⑥ 脊髄小脳変性症
⑦ ハンチントン病
⑧ 進行性筋ジストロフィー症
⑨ パーキンソン病関連疾患【進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ 3 以上であって、生活機能障害度が II 度又は III 度のものに限る)】
⑩ 多系統萎縮症【線条体黒質変性症、オリーブ矯小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群】
⑪ プリオン病
⑫ 亜急性硬化性全脳炎
⑬ 後天性免疫不全症候群
⑭ 頸髄損傷
⑮ 人工呼吸器を使用している状態及び急性増悪期の場合
⑯ ライソゾーム病
⑰ 副腎白質ジストロフイー
⑱ 脊髄性筋萎縮症
⑲ 球脊髄性筋萎縮症
⑳ 慢性炎症性脱髄性多発神経炎

●別表8
よく勘違いされやすいものとして別表8というものがあります。
これは「疾患」ではなく「状態等」を表します。
そのため別表8への該当如何によって利用する保険が変わる事はありません。
特例的なルールや加算を算定するための要件に該当するかの表になります。

別表第8
1 在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患
者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若し
くは留置カテーテルを使用している状態にある者
2 以下のいずれかを受けている状態にある者
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅人工呼吸指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
3 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
4 真皮を超える褥瘡の状態にある者
5 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

別表8該当の医療保険の場合
①難病等複数回訪問加算
②長時間訪問看護加算
③複数名訪問看護加算
④特別管理加算
⑤退院時共同指導加算を1退院の中で2回まで算定可能
⑥退院支援指導加算
⑦訪問看護基本療養費Ⅲを入院中に2回まで算定可能
⑧2カ所の訪問看護の介入が可能(週7介入の場合3カ所可能)

別表8該当の介護保険の場合
①長時間訪問看護加算
②特別管理加算
③退院時共同指導加算を1退院の中で2回まで算定可能
④緊急時訪問看護加算と早朝・深夜・夜間訪問看護加算の併用算定可能(月2回目以降)
⑤介護療養型医療施設などの退院、退所日の訪問看護可能

別表8はこれらの加算の要件の一つになっています。

特別訪問看護指示書
介護保険や別表7に該当しなかった医療保険利用中の方が下記の状態に当てはまる時に
主治医に訪問看護指示書に追加で、診療して頂き「特別訪問看護指示書」を書いて頂く事で、一時的に別表7と同等に訪問看護に入る事ができます。
・急性増悪期
・終末期又は退院直後で「週4日以上の訪問が必要」と判断されたもの
・気管カニューレ使用中
・真皮を超える褥瘡の状態
 *月に1枚の最大14日までが原則。但し、上記マーカー該当者の場合2枚まで交付可能=つまり最大で月に28日

違いを分かって頂けたでしょうか?
管理者でもなけば訪問看護をしていても、これらの違いをハッキリと説明できる看護師は少ないと思います。
ですが、訪問看護に携わるものはこういった制度を一つ一つ理解している必要があります。
それが利用者へ最適なケアを提供する第一歩になります。

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