オーラルフレイルについて

今季最強の寒波の到来など、寒さ厳しい折、風邪など引かず皆さんお元気でお過ごしでしょうか? 暦の上ではもうすぐ春ですが、まだまだ寒い時期が続くようですし、コロナ・インフルエンザも流行っていますので、引き続き感染対策もしっかりして、無事、暖かい春が迎えられるように一緒に頑張りましょう!!

 今回は長引くコロナ禍の影響で外出機会が減り、人との交流が少なくなったことで、注意が必要な口腔や飲み込みの機能の低下(オーラルフレイル)についてお話ししたいと思います。

目次

オーラルフレイルとは

フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳です。
健康な状態と要介護状態の中間で身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。
わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。 しかし、出来るだけ早い段階で適切な治療や予防対策を行うことで、要介護状態にならずにすむ可能性があります。

オーラルフレイル(Oral:口腔 、Frailty:虚弱)はその前段階といわれており、噛む・飲み込む・話すために必要な口の機能(口腔機能)が低下することを指します。口腔機能の低下が食生活に支障を及ぼしたり、滑舌が悪くなることで人や社会に関わることが減少し、フレイルへ移行するといわれています。

全身の衰え始めのサイン=オーラルフレイルを見逃さない!!

オーラルフレイルは、「噛む」「飲み込む」「話す」などの口腔機能が加齢などにより衰えることが原因となります。   口腔機能が低すると、食べこぼしや軽いむせ、固いものが噛みにくい、滑舌の悪化、口の中が乾く,口臭などの症状が現れます。噛む力が衰えることで、やわらかいものばかり食べるようになり、噛むために必要な筋力が低下することで、さらに噛む力が低下するといった負のサイクルに陥りやすくなります。

口腔機能の低下が食欲の低下、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下)や低栄養などの全身機能の低下を招き、要介護状態につながる可能性があります。

また、飲み込む機能(嚥下機能)が衰えると、食道から胃へ向かうはずの食べ物や唾液などが気道内に入ってしまう誤嚥(ごえん)を起こしやすくなり、“誤嚥性肺炎”を引き起こすこともあります。
誤嚥性肺炎は2021年、日本人の死因6位となっています。

オーラルフレイルは要介護や死亡になるリスクが2倍に

以下は、実際にオーラルフレイルと身体の衰えの関係を調べた研究結果です。
介護認定されていない高齢者約2,000人の口の健康状態を16項目にわたり調査したところ、自分の歯が20本未満滑舌の低下、お茶や汁物でむせることがあると思う等、口腔機能低下が介護リスクを高める原因であるという結果になりました。
さらにオーラルフレイルの人を詳しく調査したところ、フレイルやサルコぺニア、新たな介護認定、死亡にいたるリスクが約2倍も高いという結果になりました。

オーラルフレイル予防

では、どうすればオーラルフレイルを予防出来るでしょうか?                            以下にオーラルフレイルかどうか調べる簡単なチェックシートをご紹介します。                    

質問票の8項目のうち3点以上となった場合はオーラルフレイルの危険性があります。オーラルフレイルを予防するには、歯と口の健康を保つことが大切です。具体的には定期的な歯科検診で自分の歯や口の状態を知ること、口腔ケアで「口の中を清潔に保つこと」そして「加齢で衰える口腔機能の維持・改善に努めること」が予防につながります。

オーラルフレイルチェックシート

 

オーラルフレイル予防体操

以下にオーラルフレイル予防体操口腔機能の低下を予防する体操の一部を紹介させていただきます。
とても簡単な体操ですので是非試してみてください。

唾液腺マッサージ                                               唾液の分泌を促し、口腔内の乾燥や汚れを防ぐ、食べ物をまとまりやすくします。

 

舌の筋力トレーニング
 スプーンなどを舌に押し当てて、その力に抵抗するように舌を上に上げて力を入れる。左右から押し当てる、前から押し当てる等も同様に行います。食べ物を押しつぶたり、喉に送り込む力をつけます。

ベロ保持ごっくん体操
舌先を少し出したまま、口を閉じてつばをのみ込みます。
食べ物を飲み込む(嚥下)力をつけます。

嚥下おでこ体操

おへそをのぞきこむようにして、手のひらとおでこを5~10秒程度、押し合います。                  ※首に痛みのある方や高血圧の方は避けましょう。

全身の衰え(フレイルドミノ)の前段階あるオーラルフレイルを見逃さずに適切な対応をすることで誤嚥性肺炎の予防につながります。


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